百年後、いまより
美しい土地を残す。
これがPJ Valleyの理念であり、すべての事業と判断の目的である。今の世代だけで完成させるのではなく、土地の健全さ、美しさ、生産力を次の世代へ手渡す。
観光地をつくるのではない。土地そのものを、育てる。
六つの判断原則
理念を日々の選択へ変換する基準。規模や速度よりも、百年後の土地に何が残るかで決める。
観光より、土地を先に
人を集める前に、森、水、道、農地、景観を整える。
保存しながら、生産する
守ることと稼ぐことを分けず、土地の循環に仕事を組み込む。
本物の時間を重ねる
「昔ながら」を演出せず、使い続けることで風景をつくる。
小さく始め、深く根づく
一度に広げず、土地との関係を確かめながら次へ進む。
尖った人を迎える
完成された人だけでなく、ここで何者かになろうとする人を選ぶ。
次代に選択肢を残す
短期の収益のために、未来の可能性を使い切らない。
原則を、行動に変える。
六つの判断原則を、各事業で「実行すること」と「しないこと」にまで落とし込む。
観光より、土地を先につくる
宿や店を先に建てるのではなく、水系、植生、土壌、眺望、集落の動線を調べ、荒れた林縁や耕作放棄地から手を入れる。来訪者数ではなく、土地の状態を最初の成果指標にする。
保存しながら、生産する
手つかずにしておくことだけを自然保護と考えない。森林は更新し、草地は刈り、農地は耕し、動物を飼う。適切な生産活動を通じて、土地の健全さと雇用を同時に維持する。
本物の時間を重ねる
古民家風、農村風といった演出で過去を模倣しない。新しい建物も道具も、地元の素材と修理可能な構法でつくり、使い込まれて初めて土地の一部になるものを選ぶ。
小さく始め、深く根づく
全体構想は大きく持ちながら、実装は一つの森、一枚の畑、一頭の馬、一棟の建物から始める。土地・技術・需要を確かめ、成立した営みだけを次の場所へ広げる。
尖った人を迎える
万人に開くだけでは、土地の輪郭は生まれない。林業、馬、醸造、染色、料理、建築など、一つの領域を深く掘り、互いの仕事を越境できる人を選んで迎える。
次代に選択肢を残す
百年構想で重要なのは、今の世代が完成させすぎないこと。土地を細切れにせず、水源と眺望を守り、事業が変わっても別の使い方ができる余白を残す。
ひとつの点ではなく、
土地の連なりとして。
角館から田沢湖へ。町、農地、渓谷、山、湖を、ばらばらの名所ではなく一つの生活圏として捉える。
角館神代抱返り渓谷田沢湖生保内秋田駒ヶ岳桧木内川玉川↑ N角館
歴史文化、工芸、商い、人を迎える都市側の玄関。
神代
農地と集落を基盤に、生産と加工を担う里の中心。
抱返り
水と森の連続性を象徴し、流域全体の環境基準となる場所。
生保内
働く人が住み、学び、日常を営む生活拠点。
田沢湖
山岳・湖・温泉圏へ接続する、大きな自然景観の核。
ひとつの世界観に、
営みを重ねる。
単独の事業を並べるのではない。土、水、植物、動物、人の技術が循環するように組み合わせる。各項目を開くと、役割と最初の実装を確認できる。掲載画像は構想イメージです。
01森林育て、伐り、使い、また育てる
森林を背景ではなく、構想の生産基盤として扱う。人工林・広葉樹林・水源林を分けて読み、木材、薪、炭、山菜、景観、防災という複数の価値を同時に管理する。
- 最初の実装
- 森林台帳、境界確認、モデル林、作業道と水系の診断
- つながり
- 建築材、家具、染料、熱、馬の敷料、宿の景観
- 見る指標
- 更新木、土壌流出、林齢構成、地域材利用率
02農業・畜産土地を保ち、食を生む
大規模単作ではなく、寒冷地の季節と土地に合う複合経営を組む。米、雑穀、野菜、果樹、飼料作物と小規模畜産をつなぎ、土を痩せさせない生産を目指す。
- 最初の実装
- 土壌・水利調査、遊休農地の再生、少量多品目の試験圃場
- つながり
- レストラン、加工品、堆肥、馬、季節の仕事
- 見る指標
- 土壌有機物、耕作面積、域内消費、通年雇用
03馬・野生動物人と動物の距離を再設計する
馬を観光用の見世物にせず、草地管理、林内作業、移動、教育に関わる土地の一員として位置づける。熊・カモシカ・鹿などとは、餌場をつくらない管理と生息域への敬意を両立する。
- 最初の実装
- 放牧候補地、冬季飼料、獣医体制、柵・鉄道・道路との安全設計
- つながり
- 草地、堆肥、森林作業、馬具工芸、学び
- 見る指標
- 事故ゼロ、草地状態、越冬コスト、獣害発生
04食・工芸土地の素材を、日々の道具へ
藍染、木工、布、発酵、醸造、保存食を、土産品ではなく日常の衣食住としてつくる。素材の由来、作り手、修理や使い方まで説明できるものに絞る。
- 最初の実装
- 藍の試験栽培、定番衣料の試作、木と布の生活道具、季節の保存食
- つながり
- 農地、森林、制服、宿の備品、地域外B2B
- 見る指標
- 地元素材率、定番継続年数、修理率、作り手所得
05宿泊・暮らし訪れることと住むことをつなぐ
宿泊は集客装置ではなく、土地の営みに触れる入口とする。豪華さより、森の手入れ、食、湯、道具、静けさを一つの滞在体験にまとめる。働く人の住宅を後回しにしない。
- 最初の実装
- 既存建物の再生、少室数の宿、作り手の住居と工房
- つながり
- 地域材、農産物、工芸、ガイド、温泉地との役割分担
- 見る指標
- 滞在日数、再訪、域内調達、従業員の居住継続
06人材・学び土地とともに育つ人を迎える
職種別採用だけではなく、百姓のように複数の仕事を担える人を育てる。経験者だけでなく、これから尖りたい若者に、師匠、住居、仕事、試す場所を一体で用意する。
- 最初の実装
- 少人数の実践研修、季節雇用から通年雇用への組合せ、大学・職人との連携
- つながり
- すべての営みを横断し、技術と思想を次代へ渡す
- 見る指標
- 定着率、複能化、独立者、地域内の師弟関係
完成図ではなく、
育てる順序を持つ。
一度に全部を始めない。土地を理解し、小さな営みを成立させ、次代へ渡せる仕組みに変える。掲載画像は構想イメージです。
I土地を読む
- 土地・水・森林・農地の基礎調査
- 核となる土地の確保
- 地域の人と技術の聞き取り
- 小さなモデル林・圃場を始める
II営みを成立させる
- 森林・農・馬の年間作業を組む
- 食と工芸の定番をつくる
- 住居・工房・小さな宿を整える
- 複数の収入源をつなぐ
III景観を継ぐ
- 技術と運営を次世代へ渡す
- 土地の分割と乱開発を防ぐ
- 周辺地域へ連続性を広げる
- 百年単位の保有・基金を整える
THE NEXT ONE HUNDRED YEARS
「何を建てるか」ではなく、PJ Valley — Working title / 田沢湖・角館
「どんな土地を残すか」。